Persons

「引きこもりって自分と向き合う時間がすげーあるから」

同い年のような感覚でいつも会話しているけど、タッちゃんは実際20代半ばなんだよな。僕よりも大人な感覚の持ち主で、話をしていても「なるほどなぁ。」「さすがだね。」という相槌しか返していない気がする。それは僕よりも農業歴が長いということと、新規就農をしているタッちゃんは立派な経営者ということも、もちろん影響しているだろう。それにしても大人びている。肝が座っている。「従業員がミスったら全部で自分でケツ拭きますよ。」「誰かに指示されたくないから、就農したんです。」「禿げたら禿げたでいいです。薬とかはいいです。自分はそういうスタイルなんで。」

なんとも歯切れがよく、潔のよい回答が次から次へと飛び出してくる。いったいどういう時間を積み重ねてきたら、こういう男になれるのだろう?タッちゃんのこれまでのストーリーをしつこく聞いてみると、やはりというべきか、小学生の頃から他の子らとはあまり馴染めなかったらしい。というよりも他の子たちの遊びに子どもっぽさを感じていて、一切面白くなかったらしい。中学生時には引きこもりとなり、ひたすらモンハンに明け暮れる日常をおくっていたが、ここでも僕を「なるほどなぁ。」と唸らせてくれた。「引きこもりって、自分と向き合う時間がすげーあるから、多分それで、こういう考え方になっていったんだと思います。」僕の引きこもりに対する印象を一気にひっくり返してくれた金言だ。その後、日中はスーパーのアルバイトでがっつり稼ぎ、夜は定時制の学校に通った。友人は年上ばかりだったが、その方がタッちゃんにとっては居心地がよかったようだ。そして、環境保全系の職につき、農業の道へと進んだ。今は汗だくになりながら、土を耕し、野菜を育てる格闘の日々。そんなタッちゃんがこよなく愛するのが昆虫。家には貴重なカブトムシ、クワガタ等の部屋(冷暖房完備)があり、夏は仕事の終わりに虫取りにいくのが至福の時。とにかくカブトムシ、クワガタの目が好きらしい。大人と子どもが竹を割ったように気持ちよく同居しているタッちゃんに僕は憧れている。